
衛藤学長に励まされる山岳部員 |
面接会場に入ると、大学の先生4名と受験生4名が向かい合い、端から順番に5分ほどで自己アピールをする。つまり自分を売り込むのである。私は一番最後であったから、ライバルたちの売り込みを聞いていたが、びっくりすることに皆、高校生レベルではトップクラスの実績をもっている。スキーの全国大会優勝だとか、三味線で活躍していたり、日本舞踊を本格的にやっていたりと色々な人がいたが、共通していたのが、皆表情に自信があることだった。高校時代ほとんど実績もない私は、あせったが開き直るしかなかった。
「私は、正直言って高校時代までの実績はありません。ただ大学に入学できましたら、7大陸最高峰を全て登頂いたします」と述べ、かなり具体的に何年何月にはこの大陸最高峰に挑戦し、何年何月までに全てに登ります、と大見栄をきってしまった。
数週間後、合格通知が届いた。7大陸最高峰に登ると公約しての大学合格であった。密かに7大陸最高峰登頂を夢見ていたが、ここで公約した事により、私の夢も公のものとなった。
92年3月、無事に立教英国学院を卒業し、4月から亜細亜大学国際関係学部に入学した。高校では力を出しきれなかった分、大学で大暴れするぞと心機一転であった。
入学式を終えた頃、亜細亜大学の衛藤瀋吉学長に、学長室に呼ばれた。緊張しながら訪れると、なにか書類に目を通しながら「いやー君、本当に成績悪いな。でも君には目標があるんだから、頑張れよ。大学は応援します。山に登ればちゃんと帰ってこなければいけないように、大学に入ったらしっかり卒業しないといけない。何年かかってもいいから卒業しなさい」とおっしゃった。一学生をわざわざ学長が気にかけてくれた事がなにより嬉しかった。まんざら大学生活も悪くなさそうだと思った。
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